プロトン伝導性セラミックスの不純物分布のシミュレーション

説明:動画では、探索した不純物配置のパターンを次々と表示しています。母体となる結晶構造(下図参考)に対して、不純物が入った部分だけ表示しています。濃緑色がイットリウムで、ジルコニウム(緑色)を置き換えるように入ります。黄色は酸素イオンが抜けた部分(酸素空孔)です。動画ではバリウムは表示していません。

イオンを流すことのできるセラミックス(陶器)材料は、燃料電池や蓄電池への応用を目指して盛んに研究されています。そもそも固体中をイオンが流れるということ自体、意外に思われるかもしれません。

このシミュレーションでは、ジルコン酸バリウム(BaZrO3)というセラミックス結晶(下図参考)を調べています。そのままではイオンを通さないのですが、イットリウムなどの不純物を添加し、湿気の高い環境に置くと、水素イオンが流れることが知られています。そして、イオンの流れやすさは、添加した不純物の結晶中の並び方によって変わると考えられています。

このシミュレーションでは、ジルコン酸バリウムに添加したイットリウムイオンの並び方の可能性を網羅的に調べることで、実際の物質中の分布を解明しました。この動画は以下の論文の成果であり、著者の承諾を得て掲載しています。

論文リンク:https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2020/ta/d0ta01741h/unauth

参考:ジルコン酸バリウム(BaZrO3)の結晶構造