大学院での研究

杉野研究室では物質中の動的な現象を主なターゲットとして選び、数値計算を駆使してそのメカニズムを解明する研究に携わっています。大学院生は5年間(あるいは2年間)固体物理学と数値計算法を学びながらその知識を生かして関連する研究を行い、いずれ研究者として巣立っていくことが期待されています。研究のスキルを身につけたり知識を増やすことも重要ですが、それ以上に自分の頭で(あるいは指導教員と一緒になって)考えて創意工夫のもと新たな知見を得ること、その過程を重視しています。学んでいく過程で未解明の領域がたくさんあることに気がつくはずで、それを自分の力で明らかにする、そのためにあらゆる努力を払う、その結果自分が成長しさらに深遠な領域に踏み入ることができるようになる。それを計算物性・計算物質科学の研究を通して行うのが本研究室での目的です。

当研究室では大学院生に以下のようなテーマを与えて教育を行います。

  • 電子状態計算
    • 多体摂動論と励起状態
    • 波動関数理論と高精度計算
  • ナノマテリアルや新物質の物性予測
    • 新奇構造物の予測
    • 電気化学反応や光化学反応のシミュレーション
    • 分子動力学計算やモンテカルロ計算

これまでの研究

  • 2006年度修士論文
    • 中島紳伍 ”Structural Stability and Transport Property of the Si(001) Surface in Electric Field” (February 2007)(STM探針による電場と電位の効果がSiの表面構造に及ぼす影響を調べた研究)
  • 2007年度修士論文
    • 中橋怜 「BCN構造体の触媒性能の理論的考察」
    • 平井宏俊「非断熱遷移〜時間依存密度汎関数法からのアプローチ」
  • 2008年度修士論文
    • 塚越隆行 「経路積分影響汎関数理論による量子ダイナミクスの研究」
  • 2009年度修士論文
    • 金岩孝一 「第一原理計算によるカーボンクラスターに対する電子正孔対分布の電場依存性」
  • 2010年度博士論文
    • 平井宏俊「時間依存密度汎関数法を用いた非断熱分子動力学シミュレーション」
  • 2011年度博士論文
    • 塚越隆行「励起状態の動力学計算手法」
  • 2013年度博士論文
    • 植村渉「Description of Fermionic Wavefunctions by Symmetric Tensor Decomposition」
  • 2013年度修士論文
    • 田中将太「密度汎関数理論による vdW-DF を用いた三体分散力エネルギーの研究」
    • 弘瀬大地「全電子第一原理GW+Bethe-Salpeter計算」
  • 2014年度博士論文
    • トラン・ハイ ティ トゥ 「白金表面への水素吸着の第一原理計算」
  • 2014年度修士論文
    • 宍戸仁美「ナノグラフェンの電子状態の特異な形状依存性」

当研究室は大学院物理学専攻に所属していますので、大学院の修士課程では本郷キャンパスにて講義の単位を取得する必要があります。そのほか、以降の研究のための準備として、修士一年度においては、電子状態計算のための教科書を深く読むこととしています。これまで、

  • Parr Yang “Density-Functional Theory of Atoms and Molecules”
  • Fetter Walecka “Quantum Theory of Many Particle Systems”

などを読み進めてきました。

修士二年度は修士論文のための研究に集中することとなりますが、それを始める時期はそれぞれの学生で異なります。